結婚し一人娘の母となった40歳の茜は、ある日、中学時代に通った学習塾の先生・今井が彫刻家になったことを知る。
彼が発表した「少女像」は、かつての親友・紫の姿によく似ていた。
「作品」となった14歳の紫に再び向き合ったとき、26年前の記憶が蘇る。封印していた1枚の写真、私の犯した罪。
あの頃、紫は先生と恋をしていた。そのはずだった——。
そして過去をひもとく現在の3人の運命が動きだす。
「創作」の持つ暴力性、中年の友情、中学生と大人の「恋」……様々なテーマが折り重なる、『1122』の渡辺ペコ待望の最新作。
漫画家。北海道生まれ。2004年、「YOUNG YOU COLORS」(集英社)にて『透明少女』でデビュー。以後、女性誌を中心に活躍。繊細で鋭い心理描写と絶妙なユーモア、透明感あふれる絵柄で、多くの読者の支持を集める。
2009年、『ラウンダバウト』(集英社)が第13回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選ばれる。
2020年に完結した『1122(いいふうふ)』(講談社)は、夫婦とは何かを問いかける話題作として大きな注目を集め、現在累計125万部を超えている。
その他の著書に『にこたま』(講談社)、『東京膜』 『ボーダー』(集英社)、『変身ものがたり』(秋田書店)、『昨夜のカレー、明日のパン』(原作 木皿泉/幻冬舎)、『おふろどうぞ』(太田出版)などがある。