記憶障害を抱える脳外科医が、
医者としての自身を取り戻す。
日本における脳血管疾患の患者数はおよそ112万人。その患者の多くがなんらかの後遺症と闘っている。
自分の意図とは無関係に手が動いてしまう患者は長い間、他人からの疑いの目にさらされてきた。
時に無意識の認知バイアスが、人を追い詰めていく。
そして存在しないはずの手足が痛む幻肢痛に苦しみ、生きる目的を失った男は、やっかいな同室の患者に悩まされる。
一方でミヤビは脳外科医として
患者に寄り添う日々のなかで、
婚約者である三瓶の頑なな態度に疑念を抱く。
なぜ三瓶は執拗にミヤビを救おうとし、また、
自分自身をないがしろにしてしまうのか。
「エイリアンハンド」「幻肢痛」のエピソードを収録。