新機軸で画期的なTVシリーズをいち視聴者として愉しく拝見していたので、そんな魅惑の世界線の仲間に入れて頂く事は、光栄かつ身の引き締まる想いでした。
私の演じた人権派弁護士・月本信吾の背負っているモノ、社会や地域との距離感、眼差しは、現代の司法の光と影の象徴とも言えると思います。
そして、今や世界的な撮影監督である四宮秀俊さんが田中亮監督と共に切り撮る今回の劇場版イチケイのカラスは、法律で介入出来ない地方や中央のグレーな部分にメスを入れながらも、ドラマシリーズの持つ軽やかさ、ポップさが織りなす新たなリーガル作品になるのでは無いかと、いち映画ファン、いちイチケイファンとして完成を心待ちにしております。
オファーをいただいた時、数ある法廷ものの作品のなかでも今までと違う視点で描かれる作品という印象があったので、出演がすごく楽しみでした。連ドラからのチームに映画から参加し、初めましての方も多かったですが、その中でも違和感なく過ごせたのはチームの皆さんのおかげでした。
今回演じた鵜城英二は、野心的な政治家の面もありつつ、ステレオタイプな政治家ではない部分もあったりといろんな要素がある役です。少ない登場シーンの中でどう人間性を出していくかが難しく、現場で監督とすり合わせていきました。
僕も個人的に傍聴席に行ったことがありますが、法廷には本当に筋書きのない物語がたくさんあると思います。今作は法廷で生まれるドラマとしての面白さだけじゃなく、いろんな人たちの人間関係や張り巡らされた複雑な伏線が回収されていく爽快感がたくさんあると思いますので、ぜひ劇場で体感していただければと思います。
え? 出てくれるんですか? 斎藤工さんと……向井理さんが……? お二人とも?
願っていた通りのキャスティングが決まった瞬間、嬉しさと驚きのあまり目が点になってしまいました。
この映画の最も重要なゲストである二役には当初からキャスティングのイメージが明確にありました。
月本は人権派弁護士として汗をかく土臭さがありながら、坂間を翻弄する大人の魅力を持っている役なので斎藤工さんにしか演じられない。鵜城は史上最年少防衛大臣という特殊なキャラクターをリアルに感じさせるほどの芯の強さと知性を持ち合わせた方に演じていただきたいので、向井理さんしかいないとそれぞれ考えていました。
最大の敵・鵜城とにらみ合うみちおの静かな怒り、新たなバディ・月本と見つめ合う坂間の穏やかな眼差し、今までのイチケイでは見せたことのない表情がそこにはあります。
斎藤さんと向井さんの魅力に彩られて、激しくも温かい人間模様がスクリーンいっぱいに広がりました。是非楽しみにしていてください。