大好きな原作をアニメに仕立て皆さんへお届けする。これ以上の興奮と喜びはありません。
映像化にあたり改めて読み返すと、初めて本を開いたワクワクが蘇りました。描く苦しみと喜び。作中のキャラクターと自分の気持ちが重なり深く没入する感覚。多くのファンが支持する理由を熱く感じ、それを共有できるアニメにしたいと強く思いました。
「魔法」を扱う作品は数多ありますが本作の魔法はとても身近なものとして描かれています。人の生活に寄り添うかたちで存在する「魔法」。ファンタジーを理由に飛躍をし過ぎない絶妙なバランスが本作の面白さだと思います。
漫画は「ないこと」を「あること」として描けますが、実は「あること」の為に「ないこと」を丁寧に描く事が必要です。それによって「あること」の実在感に結び付けるのです。アニメも同じです。
本作の主人公のココは「ないこと」の代表です。ココと一緒に皆さんにも「あること」として魔法を感じていただけたら嬉しいです。
ココやアトリエの仲間が皆さんの本当の友達に感じてもらえることがアニメに託す密かな目標です。
本作のキャラクターデザインを務めるにあたって改めて原作を読み返した時、自分の内にあった「アニメーション」に対する気持ちがストーリーの随所で深く重なり、涙を堪えたことを覚えています。
誰もが一度は抱く「魔法」への憧れや華やかさだけでなく、「魔法」を実際に扱う人の責任や苦悩まで丁寧に描かれているのが本作の魅力です。
あなたにとっての「魔法」とは何か。それを踏まえて、全てのキャラクターの生い立ちや感情に寄り添って、愛情を込めて描かせていただきます。できるだけ多くの方に楽しんでいただけたら幸いです。
この度『とんがり帽子のアトリエ』の劇伴作曲家としてお声掛けいただき、驚きとともにこの作品の美しい世界観を音楽で彩れることへの大きな喜びと緊張感を感じています。
ココたちの生きる日常、魔法の仕組み、個性豊かな生物たち…世界観や美術だけではなく、魔法への憧れや葛藤をはじめ、それぞれのキャラクターが持つ複雑な感情の描写もとても魅力的だと感じています。
そんな作品の魅力が輝くような音楽づくりを目指したいです。
届く人にだけ届けばいいやと好き勝手に描いてきた物語が、気付けば多くの人に支えられ、遂にアニメ化となりました。ここまで『とんがり帽子のアトリエ』の世界を広げられたのも、ひとえに読者さん達の応援のおかげです。ありがとうございます。この興奮を皆さんとやっと共有できるのが嬉しくてたまりません。
監督をはじめ制作に携わってくださっている皆さんは作品の理解度がとても高く、より深く世界観を掘り下げてくれています。
『とんがり帽子のアトリエ』は魔法と魔法使いの物語ですが、紙に描いた絵が生き生きと動き出すことこそ、まさに魔法と言えるでしょう。
大勢の魔法使い達の技術と情熱が合わさって産み出されるアニメという魔法、私も皆さんと一緒に楽しみにしながら待ちたいと思います。