「きぼう」日本実験棟船内に設置されたロボットアームを活用して、
小山先生の筆跡を再現。
描かれるのは、本ミッション用に
先生が描き下ろした幻のオリジナルストーリー「425.5話」。
ミッション成功に向けて、宇宙ならではの様々な制約が立ちはだかる。
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無重力空間による挙動制限
国際宇宙ステーション(ISS)内の微小重力環境では、地上と異なるアームの挙動が生じる。先生の筆跡を再現するために、精密な調整が求められる。
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宇宙飛行士の作業時間制限
ISS内での宇宙飛行士の稼働には、厳しい時間制限が設けられている。地上スタッフは、限られた時間内での宇宙飛行士との連携が求められる。
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最大6秒の遅延が生じる通信規制
地上とISS間の通信には、最大6秒のタイムラグが発生する。そのような通信環境の中、遅延を見越した操作と的確な判断が求められる。
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検査通過品に限られる道具規制
ISS内に持ち込める道具には、厳しい安全基準が設けられている。マンガ用に開発されたペンは使用できず、限られた道具での描画が求められる。
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ミッション始動 2024年5月
Mission: SPACE COMICが立ち上がる。「人とは違うロボットに、漫画家の手つきを身につけさせる」という前例のない挑戦を実現させるため、宇宙産業・ロボット産業からエキスパートが結集。
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β版システム開発が完了
地上の1G環境向けに設計されたロボットを、ISSの微小重力環境で運用するために、既存のROS(Robot Operation System)を活用した、簡易的な描画プログラムを開発した。
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仕様変更と再始動
ISS上の制御環境では、iOSランタイムが指定され、ROSなど地上のソフトウェア資産を使えないことが判明。実装可能なプログラム量も限られる中、オリジナルで開発する方針へと切り替えた。
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高精細の壁に直面
マンガのような精細な絵の再現に難航。1mm単位のズレがキャラクターの印象を大きく変えてしまうため、「線を描く」だけではなく「キャラクターに見える」精度を目指し開発を重ねた。
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宇宙へ打上げ 2026年2月
描画に必要な道具を載せた「ファルコン9ロケット」が米国フロリダ州から打上げられた。打上げから35時間後、搭載された「クルードラゴン宇宙船運用12号機」は、無事にISSへドッキングした。
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描画精度と速度の向上
徐々に精細な描画が可能に。一方、微小重力では自然対流が起きにくく熱がこもりやすいため、許容温度に達する前に描画を完了させる必要があり、描画速度の向上に取り掛かる。
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ミッション本番
ついに本番。地上とISSを繋ぎ、描画に挑戦。軌道上でロボットアームが筆跡を再現する。ペンが紙に接地しないトラブルや通信の断絶後に確認された動作不良など次々問題が発生するもミッションを遂行。
松本翔平
スペースエントリー株式会社
CCO
今回のミッションでは、微小重力下でのロボットアームの挙動変化や通信環境など、宇宙ならではの想定外の壁に直面しました。それでも、地上からミリ単位で軌道を修正し、チームで課題を解決しながらマンガを描けたことは、今後の宇宙空間における遠隔ロボティクス運用に向けた、何にも代えがたい実証データになりました。これからも日本の宇宙活動を支える技術開発に取り組んでまいります。
根本雅人
メノー株式会社
代表取締役
今回のミッションでは、想定外の出来事が幾度もありましたが、チーム一丸となって一つひとつ課題を乗り越え、無事にやり遂げることができました。その過程で、宇宙開発には技術力だけでなく、仲間を信頼し、最後まで諦めない姿勢が大切だと実感しました。『宇宙兄弟』のムッタやヒビトの姿にも重なる経験を糧に、これからも挑戦を続け、日本の宇宙開発に少しでも貢献してまいります。
小田直矢
株式会社セルシス
アプリ開発部 部長
セルシスは、小山先生が「CLIP STUDIO PAINT」で描かれた筆跡をベクターデータ化し、ロボットアームによる宇宙での描画を技術支援しました。作家の筆致をできる限り保ったまま、宇宙で再現可能なデータとして受け渡せたことは、創作ツールの新たな可能性を示す貴重な機会になりました。今後も、クリエイターの表現を支える技術を進化させ、表現の舞台を広げてまいります。
天田剛・本村日香留
三井物産エアロスペース株式会社
弊社は受託者であるJAXAからの契約のもと、安全評価~実運用全体のスケジュール管理を担当しました。前人未到の挑戦には多くの課題があり、不測の事態に備えた運用プランの策定や、宇宙飛行士の限られた時間の確保など、当日まで時間との闘いでした。それでも実現できたのは、関係者の必ず成功させたいという共通する強い思いが何よりも大きな力になったからです。
小山宙哉
『宇宙兄弟』作者
プロジェクトを終えて驚いたのは、宇宙から返ってきた絵が、いい意味で味のあるタッチになっていたことです。ロボットアームのわずかなブレが、アナログで描くときの手の揺らぎのようで、とても好きな絵でした。難しい環境を一つずつ乗り越える宇宙開発には、地球だけでは生まれない発想や技術を育てる力があると思います。その発見がいつか暮らしに還ることを心から楽しみにしています。